みなさんこんにちは。
今回のブログは、飼育失敗で溶かしてしまったサンゴである、トゲトサカやその仲間について、今後自分で再度飼育する上機会があった場合の失敗のメモとしてブログにしていきたいと思います。
正直な所隠日性ソフトコーラルは難しいと言われているのは知っていましたが、ここまで難しいとは思っていなかった自分に反省です。
そんなわけで自分が失敗してしまった原因の考察や再度チャレンジする際に気をつけようと思っている点などを中心に、
・ 隠日性サンゴの種類
・ 飼育環境
・ 飼育失敗の原因
・ 今後の改善点
についてブログにしていきたいと思います。
Contents
1 隠日性サンゴの種類
今回我が家で飼育した失敗した隠日性サンゴですが、所謂大枠で言うところの
隠日性ソフトコーラル
と呼ばれる種類のサンゴになります。
隠日性ソフトコーラルは、隠日性と言われるだけあって、光合成では無く、餌の捕食によって生命維持をしています。
水中ではその小さなポリプを広げて餌となる動物性、植物性プランクトンを捕食します。
自然界では結構潮通しの良いところや漁港の縁にくっついている事もあり、それなりに強い水流や大量の微細なプランクトンが必要になるのだと思います。
2 飼育環境と溶けるまでの経過
飼育環境ですが、60センチオーバーフロー水槽でプロテインスキマーがあり、ライトは背面ライトのみでした。
水流ポンプの設置はなく、濾過槽からの戻り水を二股に分けて水槽内を循環する様な水流を作っていました。
そして、水温は15℃で水温は低くキープしていました。
隠日性ソフトコーラルを水槽に入れて最初の1週間は、特に問題もなくポリプを広げる様子も見られるなど調子は良かったです。
餌としても、ズープランクトンや粉末のSPSフードなどの液体飼料を与えながら様子を見ていました。
なお、給餌の際は水流ポンプを止めて給餌をしていました。
また、逆さまに設置するグループと垂直に設置するグループの二つに分けて観察を続けていました。
水槽導入から2週間程度経過したところ、ポリプの開き方が逆さまに設置した方がいい感じがしたので全ての隠日性ソフトコーラルを逆さまに設置しました。
逆さまに設置したあと約1ヶ月は調子良くポリプを開き育っている様子でした。
そして更に1ヶ月が過ぎた頃、ここから一気に調子が崩れます。
まず、みられた症状は、ポリプが開かない事です。
ポリプが開かないので餌を捕食しなくなってしまったのだと思います。
次に見られた症状は、ソフトコーラルの伸び縮みが無くなり、小さくグタッとした状態が続く様になりました。
続けてポリプの先端の組織が徐々に脱落する様になりました。
特にトゲトサカがこの症状が顕著にみられ、ボロボロと組織が壊れていっている様子が見られました。
最後は、ポリプ周辺の組織が全て崩れていってしまった為、暫く様子を観察しましたが、サンゴ全体の組織が砂の様にバラバラとなってしまった為、スポイトでそれらを取り出して、溶けてしまった本体も水槽内から出しました。
3 飼育失敗の原因
このように隠日性サンゴが溶けてしまった過程において、考えられる失敗の原因としては、
(1) 水温が低すぎる
近海産のソフトコーラルなので、15℃位の水温なら問題ないと思っていましたが、恐らくこの水温により、自然環境下で隠日性ソフトコーラルが捕食するような微生物が殆ど発生しなくなった可能性があります。
特に今回の水槽は立ち上げてから1ヶ月程度しか経過していなかった為そう言った微生物も全く発生していなかったのではないかとおもいます。
餌がない為体を維持することが出来ずに溶けてしまったと言う可能性があります。
逆に少し水温が高くても餌となる微生物が上手く繁殖してくれれば上手く飼育できる可能性があるのではないかと思いました。
(2) 水流が弱すぎる
今回飼育した水槽は特に水流ポンプは設置していませんでした。
自然界で結構流れの強い所にいる事が多いと言われているので、水流が弱かった可能性も考えられます。
水流が弱いことにより、直接吹きかけていた餌がサンゴの体表に残ったままとなり、それが原因で溶けたのかもしれません。
しかし、漁港内などでも生息している事がある為、必ずしも強い水流が必要というわけではなく、ある程度(ソフトコーラルの脱皮や代謝の為に必要な程度)の水流があればいいのではないかと思っているので、これは次回挑戦ある時に再度検証してみたいと思います。
(3) 光が無さすぎる
隠日性コーラルなので、実際のところ光合成によるエネルギーは必要とはしていないと思うのですが、サンゴ自体というよりサンゴの他の環境にとって全くライトで照らされないと言う事が問題になった可能性があるのかなと思います。
隠日性サンゴの餌になる植物性プランクトンも光が無ければ増えないですし、維持させることも出来ないと思うからです。
(4) 圧倒的に餌不足
実はこの餌不足と言うのが一番の原因だと思っています。
オーバーフロー水槽ではどうしても浮遊物は濾過層に落ちてしまい、隠日性サンゴの餌となる有機物が流れ出てしまいます。
好日性サンゴ飼育では、あまり水中の浮遊物は無い方がいいと言われていますが、隠日性サンゴは逆である程度浮遊物があり、常に捕食できるような環境を作ってあげた方が長期飼育しやすいのではないかと思います。
そのため濾過方式についても、オーバーフローより外部濾過や上部濾過の方が適しているのではないかと思います。
また、隠日性サンゴと言っても光を当てるといけないと言うわけではないので、なるべく自然と同じような環境を作った方がいいのではないかと思いました。
4今後の改善点
今後の改善点としては、濾過方式を常に水中を浮遊物が舞っているような状態にするため、外部濾過フィルターにスポンジマットをつけたものがいいのではないかと思いました。
スポンジマットをつける事で餌となる有機物を吸い込んで濾過する可能性も低くなるわけですし、常に細かい有機物が舞っているので餌をとりやすくなるのかなと思います。
オーバーフローでは、どうしても水槽内の細かいプランクトンなどが濾し取られてしまうので、うまく飼育するのは難しいように感じました。
また水流に関しては、強い水流というより、太い水流が一方方向というより左右に揺れる流れの方が良いような気がします。
また出来れば、底面に落ちた有機物を再び水中に舞い上げられるような水流が好ましいように感じました。
餌に関してですが、これだけ細かいポリプのサンゴだと正直言って捕食しているかどうかは見た目ではわかりづらいです。
かと言って1日中水槽に張り付いて観察するのも難しいので、24時間ずっと水中に餌のある状態が好ましいのかなと思います。
しかしそれだけ多くの餌を入れるということは、水がそれだけ汚れるという事でもあるので、大量換水しながら水質を維持するというのが、隠日性ソフトコーラルには必要なのかなと思います。
あと必要なのは、バクテリアや微生物など生物相が豊かな水槽を作ることだと思いました。
5 まとめ
今回の飼育失敗の理由について色々と考察してみましたが、最後の最後でそれかよと思うかも知れませんが、今回の失敗の大きな原因は、水槽のバクテリアや微生物などの生物層が貧弱で水質的にもあまり良くなかった事が失敗の一番の原因であるように感じました。
海水水槽は淡水水槽よりバクテリアの立ち上がりが遅いのですが、その上更に水温が低いのでバクテリアの立ち上がりは更に時間がかかります。
具体的にどのくらいかかるのかは、ろ材の種類や濾過方式などによりマチマチだと思いますが、我が家の水槽では、ろ材が圧倒的に少ない上にプロテインスキマーを利用しているので、立ち上がりにはかなりの時間を要する様にかんじました。
今飼育している感じでは、きちんと立ち上がったといえるには、少なくとも6ヶ月ぐらいの期間は要するのかなと思いました。(ただ何も飼えないというわけではなく、良く注意しながら1ヶ月ぐらいは最低でも待ってから生体を入れた方が良いように感じます。)
余談ですが、トゲトサカなどは、好日性サンゴと一緒に飼育してうまく行っている人も居るようです。
多分そう言った水槽は、生物層が豊かで天然海水を使っていたり、立ち上げてからかなりの期間を経過していたりと色々な理由によって維持できている様に感じます。
最後にまとめると、隠日性ソフトコーラルはポリプが小さいため一度に取れる餌の量が限定されるので大量に餌を長時間漂わせる必要がある事は間違いないのかなと思いました。
良く良く考えても、好日性のSPSやソフトコーラルも少なくとも8時間ぐらいは光を浴びて栄養補給している事から、隠日性サンゴは光の代わりにこれくらいの量の餌を必要とするのではないかと思いました。
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