【海水水槽】ブラインシュリンプの栄養強化〜稚魚やハナゴイなど人工飼料を食べない魚に最適〜

みなさんこんにちは。

海水魚って淡水魚に比べて餌付けが難しい印象がありますよね。

自分も海水魚飼育、特にハナゴイの飼育を始めた当初は餌を何も食べてくれないので苦労しました。

人工飼料はおろか冷凍餌さえ食べない場合は、天然の生きているコペポーダなどを与えて餌付けしないとハナゴイが餓死してしまうので、せっせとそう言った餌を与えるのですが、天然の活餌ってお高いんですよ。

嗜好性は抜群な代わりに、財布にも抜群のダメージを与えて来ます。

そんな時に手軽に与えられる活餌として、ブラインシュリンプがあります。

ブラインシュリンプも生きているだけあって、ハナゴイ類はもちろん色々な餌付けが難しい魚などが好んで食べてくれます。

ただ、一つ落とし穴があって、海水魚の場合、ブラインシュリンプだけを与えていると結構高確率で病気にかかったり、突然死したりしてしまいます。

この理由は簡単に言うと、ただ沸かせたブラインシュリンプだけでは海水魚にとって栄養不足だからです。

しかし、このブラインシュリンプに海水魚が必要とする栄養素をぶち込む事で、海水魚やその稚魚に与える餌として充分なものとなります。

導入はこんな感じで、今回は具体的にどの様にしてブラインシュリンプの沸かし方から栄養強化までを

とり
とり

・ブラインシュリンプの種類
・ブラインシュリンプの沸かしかた
・ブラインシュリンプの栄養強化
・ブラインシュリンプのストック方法
・ブラインシュリンプの与え方

これらの項目に分けて紹介していきたいと思います。

1 ブラインシュリンプの種類

ブラインシュリンプって一口に言っても実は結構色々と種類があるんです。

と言ってもブラインシュリンプはブラインシュリンプなので基本的な沸かし方やストック方法は変わらないのですが、取れる場所によってちょっと特色があります。

ブラインシュリンプは、塩湖に住むプランクトンで日本で主に販売されているのは、ソルトレイク産や中国産、ベトナム産などになります。

じゃあ産地で何が違うのかというと、一番大きな違いは、大きさです。

大きさ順に並べると

ベトナム<ソルトレイク<中国

という順番でベトナム産のブラインシュリンプが一番小さく稚魚の初期飼料として優れています。

これからブラインシュリンプを購入しようと思っている方はパッケージや説明文に産地が記載されていると思うのでそれを見て判断すると良いと思います。

自分は全て使ったことがありますが、常時ストックしているのは、ベトナム産と中国産のブラインシュリンプになります。ただ値段はブラインシュリンプの大きさに反比例するのかベトナム産が一番高いです。

2 ブラインシュリンプの沸かし方

それではブラインシュリンプの沸かし方ですが色々な方法があります。

簡単に説明すると、

・薄く貼った塩水に浮かべてライトを当てておく方法

・塩水を入れてエアレーションした容器に卵を入れる方法

の2つが代表的な沸かし方になると思います。

自分は薄く貼った水に卵を浮かべる方法は孵化した卵殻の除去が面倒なのであまり使わないので今回は容器を使った方法を中心に説明します。

手順は、

・大体3%ぐらいの濃度の塩水を作る。(アバウトでOK)

・容器に塩水を入れる

・ブラインシュリンプの卵を容器に適量入れる(水面が隠れるぐらいまで)

・エアチューブとストーンを使ってエアレーションする

・適当にライトを当てておく

・概ね20時間後位には孵化する(水温や外気温によって孵化にかかる時間が変わります)

・殻と孵化したブラインシュリンプを分ける

・沸かせたブラインシュリンプを水槽水で洗う

・餌として海水魚に与える

となっています。お金をあまりかけたく無い場合はペットボトルなどでも簡単に沸かすことができます。

我が家は頻繁にブラインシュリンプを沸かしているので、市販のハッチャーというものを使っています。これには塩水を適度な濃度で作る目安になるスプーンなども付いているので簡単に沸かすことができます。

ブラインシュリンプを沸かすために作る塩水は、人工海水の素を使わなくても大丈夫です。

我が家はスーパーで安く売っているあら塩を使っています。

ブラインシュリンプの孵化した卵殻は、非常に消化が悪く魚を死なせてしまう原因となるので必ず取り除く様にして下さい。

あとはブラインシュリンプが湧いた後の水もアンモニア濃度が高いので水槽にとって害となるため、ブラインシュリンプだけをネットなどで取り出してください。

ウチでは既製品のメッシュカップを使ってブラインシュリンプだけを分離しています。

メッシュカップにブラインシュリンプだけを分離したあとは、水道水でブラインシュリンプを軽く洗ってアンモニアを落としてから、ストックするか海水魚に与えます。

冬場は水温が下がるので孵化までに2日位かかることもあります。早く孵化させたい場合は、ヒーターを入れて水温を上げた大きな容器の中にブラインシュリンプの孵化機を入れてあげるといつも同じくらいの時間で孵化します。

ここで沸かしたブラインシュリンプをすぐに海水魚に与えると、生まれたばかりのブラインシュリンプが持つヨーサックの成分が魚の養分となります。

しかしこれだけでは海水魚にとって栄養分が足りないので、次に項目ではその栄養素をブラインシュリンプにぶち込む方法を説明していきたいと思います。

3 ブラインシュリンプの栄養強化

ブラインシュリンプを魚に与える主な理由は、

・生きているので魚の食べが良い(嗜好性バツグン)

・生まれたばかりのブラインシュリンプの持つ栄養素を魚に与える

この2つだと思います。

淡水魚の場合には、そのままブラインシュリンプを与えれば何の問題も無いのですが、海水魚の場合には、孵化したばかりのブラインシュリンプが持つ養分の他に、必須脂肪酸(EPA)などが必要になります。

仮に栄養強化を行わずに稚魚育成を行った場合、殆どの個体が食べているのに死んでしまうと言う状態に陥ります。

そこでここの項目では、海水魚に必要な必須脂肪酸などをブラインシュリンプに取り込ませて、栄養強化されたブラインシュリンプを作る方法を紹介します。

今まで自分が試した方法が幾つかあるので、順番に列挙していきたいと思います。

⑴粉末の栄養強化剤を使う

粉末の栄養強化剤ですが、我が家で試したことのあるものは、マリンスペシャル栄養強化剤です。

この栄養強化剤は粉末なので長期保存が出来る事や必要な分量を作る事が出来ると言うメリットがあります。

栄養強化剤の作り方としては、40℃ぐらいのお湯に付属のスプーンを使って必要な量を溶かして使います。分量などについては購入時に説明書が付いていますのでそちらを見て確認していただければと思います。

我が家では2週間で使い切るぐらいの分量を作っておき、必要な分量を添加したあとは冷蔵庫で保管しています。

次に実際の使い方ですが、卵から沸かせたブラインシュリンプを卵と分けてからメッシュネットなどを使って別の海水に移動させます。

別の海水に移動させた後は、そのブラインシュリンプが入った容器に、実際に魚に与える8時間前位に適量を添加します。

8時間前に添加するのは、ブラインシュリンプが栄養成分を摂取するのに8時間位かかるかからです。研究レポートなどを見ると大体8時間位の時間が一番効率よく栄養強化出来ているようで、これより長くなると僅かづつではありますが栄養成分が減っていく様です。

栄養強化したあとは、再度メッシュネットなどでブラインシュリンプだけを取り分けて、海水魚に与えます。

我が家には詳細な測定器などは無いので、実際にどの程度栄養強化出来ているか正確なところはわかりませんが、ダンゴウオの稚魚が3ヶ月間大きくなれるほど成長したので、一定の栄養強化は出来ていたのだと思います。

⑵生の海産クロレラを使う

生の海産クロレラを使った栄養強化方法ですが、結構生海産クロレラって種苗飼育で使われることなどから、ホビーアクアリウム用の小分けってあまり売ってません。

そこで今現在販売されているかわかりませんが、日海センターさんで生海水クロレラ培養セットが販売されていたので我が家ではこれを使って海産クロレラを作っています。

培養セットには4種類の薬剤がありそれぞれ規定分量を新しく作った人工海水に入れて、生海産クロレラの種水を入れてからライトを当てて培養します。

使える様になるまで大体2週間くらいかかるのであらかじめ作っておいた方が間違いないと思います。

栄養強化方法は、上で挙げた様にブラインシュリンプを殻から分けて新たに人工海水に入れた後、そこに餌として与える8時間前に海産クロレラを添加します。

海産クロレラはそのまま水槽に入れても大丈夫ですが、緑の液体なので気分的に嫌な場合はブラインシュリンプだけを取り出して与えてください。

我が家では面倒なのでそのままスポイトで吸って与えていますが、それによって魚が死んでしまったりといった不都合は起きていないので、そのまま入れても大きな問題は起きないと思います。

⑶番外編:ベトナム産ブラインシュリンプのみを使う

最後に番外編ですが、ブラインシュリンプの中にも元々EPAを含んだものもいます。

それがベトナム産のブラインシュリンプです。

ベトナム産ブラインシュリンプは元々EPAを含んでいると言われており、孵化したブラインシュリンプも小さめなので稚魚の餌としてピッタリだと思います。

また孵化率も他のブラインシュリンプに比べて格段に高いのであまり無駄になりません。

ただ、デメリットとして、値段が他のブラインシュリンプエッグから比べるとかなり割高だと言う事です。

ただ、多少高くても質の良いブラインシュリンプの方が稚魚の育成などには適していると思うので、これから繁殖を考えている方には一考の余地があると思います。

4 ブラインシュリンプのストック方法

ブラインシュリンプのストック方法ですが、上の写真の様にある程度の容量がある入れ物にエアレーションをしてストックします。

我が家で行っているストック方法は、

・ 事前に少量の海産クロレラを入れた人工海水を用意しておく

・ 孵化したブラインシュリンプを殻から分離して水道水で洗う

・ ブラインシュリンプだけを海産クロレラ入りの海水に入れる

・ セットが終わったらエアレーションする

と言う方法でストックしています。この方法で2、3日はストックできます。しかし飼育水を使ってストック用の水を作ると海産クロレラがすぐに居なくなってしまう可能性があるので、飼育水を使う場合は1、2日中にブラインシュリンプを使い切った方が良いかもしれません。

海産クロレラを入れる量は多くてもブラインシュリンプには負担にならないので多く入れても大丈夫です。

因みに海産クロレラ100%の海水に少量のブラインシュリンプを入れておくと3週間以上生きて大きく育ちます。

成魚に生きてる餌を与えたい場合には大きく育てても良いかもしれませんが、海水の量が結構大量に必要になるので手間がかなり掛かりそうです。

5 ブラインシュリンプの与え方

海産クロレラで栄養強化したブラインシュリンプの与え方ですが、基本的にそのままスポイトなどで海産クロレラごと吸い出して、水槽に入れても大丈夫です。

海産クロレラ自体が植物性プランクトンなので飼育する水槽には大きな影響は出ないと思います。

しかし、雑菌などの混入で海産クロレラ以外の微生物も入る可能性が全く無いわけでは無いので慎重に与える場合には、メッシュネットなどで与える分だけブラインシュリンプを分けて与えた方が間違いはないと思います。

我が家では海産クロレラごとブラインシュリンプを水槽に入れていますが今の所大きな変化はなく、海産クロレラごと海水に入れると隠日性キサンゴの開きが良くなったり、水槽内にベトっとした嫌な苔が生えなかったりといい影響しか出ていません。

まだ検証不足ですが、ダイノスやシアノバクテリアと競合して水槽内でこれらの嫌な藻類の繁殖を抑制する効果もあるかもしれません。

6 まとめ

簡単にブラインシュリンプの栄養強化と与え方についてブログにしてきましたが、ここで紹介したのはあくまで一例であり、他にも色々と方法があると思います。

また栄養強化については、

Wawa street(https://wawastreet.com)さんで取り扱っているオメガブースターと言う栄養強化薬を使った方法もあります。

こちらのサイトではかなり細かくブラインシュリンプの栄養強化について記載されておりますので、さらに詳しく知りたい方はご一読下さい。かなり勉強になります。

私もオメガブースターを入手したので稚魚で栄養強化能力を試してみようと思っていたのですが、今年は産卵に失敗してしまい今だに試せずにいます。

しかしそのうちまた試す気会はあると思いますので、試した時にはその結果についてブログにしてみたいと思います。

海水魚は中々繁殖が難しいと言われていますが色々と試す中で少しづつ成功率も上がって来る気がしますので私も今後も引き続きチャレンジしますが、色々な人にチャレンジしてもらいたいと思います。

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