皆さんこんにちは。DANです。
今日は自分自身が飼育したことがない生体の紹介です。
その名もカノコナマコ。
別名リュウキュウフジナマコです。
どんな見た目かというと、
こんな見た目です。(写真はツイッターのフォロワーさんの「魚道部!」剥製師Rickyさんから提供していただきました。ありがとうございます。)
底砂掃除に絶大な威力を発揮する生体のようで、
その能力は黒ナマコより全然強力なようです。
それでは、このカノコナマコについて見てみましょう。
1 カノコナマコとは
カノコナマコというのは、和名であり、学名は、Holothuria Hilla というそうです。
種類としては、
ヒトデやウニといった生物に近い棘皮動物門という分類に属する動物です。
カノコナマコという和名も、
鹿のような模様をしているので、
鹿の子と呼ばれるようになったようです。
生息場所は沖縄や南西諸島以南の太平洋で暖かい地域に住んでいるようです。
写真では、棘のようなものが出ていますが、
ナマコなので、ふにゃふにゃとやわらかい身体をしています。
砂に混ざっている有機物を取り込んで、
綺麗になった砂を糞として放出します。
生態としては、夜行性で昼間は岩陰に隠れており、
夜になると出てきて砂を掃除するようです。
ナマコは磯遊びなどをしていると、
見かけることがある生き物の一つです。
大きさははっきりとしたことは分かりませんが、
アクアリウム等で取り扱われるものは10センチぐらいの大きさが平均なのではないでしょうか。
あまり大きくても水槽を圧迫するだけですしね。
余談ですが、
自分も新潟に釣りに行った際に、
ルアーで赤ナマコを釣ってしまったことがあります。
2 飼育方法
上部濾過、外部濾過、オーバーフロー水槽など、
普通にスズメダイ系の魚が飼育できる環境であれば、
問題なく飼育できると思います。
水槽のガラス面にも上ったりするので、
水流ポンプや岩組等には注意が必要です。
とても丈夫な種ですが、万が一水槽内で死ぬことがあると、
その死骸はサポニンという有毒物質を出しますので、
水槽内の魚に悪影響を及ぼしたり、
水槽が崩壊する恐れがあります。
それ以外は、
水温は概ね15℃から25℃前後
餌は底砂の中にある有機物等です。
体が小さくなってきた場合には、
人口飼料や冷凍コペポーダなどあげましょう。
混泳については、攻撃的な種類でなければ問題ありません。
サンゴとの相性 特に問題ありません。
3 注意点
カノコナマコに限らずナマコ全般に言えるのですが、
ポンプに巻き込まれたり、
岩につぶされたりして激しく損傷した場合や死んだ場合は、
サポニンという毒を出す可能性があるので注意が必要です。
カノコナマコは他のナマコに比べてこのサポニンが少ないと言われていますが、
それでも注意は必要です。
こうやってよくわからない毒を体内に持つことでナマコは身体を守っているんですね。
その他、ナマコはキュビエ器官といって、
外敵から攻撃を受けた際に、
素麺のようなものを出して身を守る性質があります。
人が磯などでナマコを見つけた際に
触って刺激を与えていると
口のような場所からこの素麺を出してきます。
この素麺みたいなやつはとても粘度が高いので一度手に付いたりすると、
水中で剥がすのは中々難しいようです。
記録では、このキュビエ器官の素麺でイセエビを動けなくしたという記録もあるそうです。
また、このキュビエ器官にもサポニン毒を含みます。
参考ですが、食用されるマナマコはこの器官がないそうです。
サポニンとは
サポゲニンという物質と糖から構成されるものの総称であり、
植物や一部の棘皮動物の体内に含まれます。
形は白色の無定形粉末で、
水見混ぜると溶けて石鹸のように泡がたつ界面活性作用があります。
界面活性作用があるため、細胞膜を破壊することがあり、
血液にはいると赤血球を攻撃(溶血作用)したり、
水に溶けている状態では、
魚などの水生動物のエラの表面を傷付けたりする毒性を発揮します。
キュビエ器官
ジョルジュ・キュビエという人物が発見して、
キュビエ器官と名づけられました。
ナマコが外敵から身を守る器官のこと。
キュビエ器官はナマコの仲間の多くが持っており、
エラや直腸が変化したものだと考えられているそうです。
キュビエ器官はナマコが外敵から襲われた際にナマコの体内から放出され、
粘液を含んだその細い糸のような網のような形状をしたものが外敵に纏わりつくことで動きを封じます。
放出されたキュビエ器官が体内に戻ることは無く、
放出後1カ月から3カ月程度で再生するようです。
スパイダーマンのネットのようなものですね。
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4 海水水槽での役割
底砂の攪拌と底砂の有機物除去がメインの仕事になります。
5 雄雌の見分け方
ナマコ全般の雄雌の見分け方ですが、
どうやら通常の状態では見分けはつかないようです。
ではどうやって判別するのかというと、
交尾の際に立ち上がろうとするのがオスのようです。
そもそも雄雌の区別が付けずらいので、
水槽内での繁殖は難しいのではないでしょうか。
6 まとめ
底砂の攪拌と底砂に溜まった有機物除去なら右に出るものが居ないほど
有能で生命力も強く飼育も非常に簡単なカノコナマコですが、
ナマコの仲間ということで、サポニンを含む毒素を持っています。
海水水槽では、
いつの間にかいなくなっているという事は誰しも経験があることかもしれませんが、
ナマコがそうなって水槽内で死んでしまった場合大惨事を引き起こす可能性もあるので、
その部分の注意も必要です。
しかし、きちんとそのあたりを注意して飼育していれば、
飼育難易度は決して高くないので、
ご自宅の水槽の掃除屋さんとして迎え入れるのもいいかもしれませんね。