皆さんこんにちは。
海水魚ってあまり飼育環境下で産卵することって無いですよね。
クマノミなどはある程度産卵から稚魚の飼育まで情報が出てきますが、他の魚はあまり聞きません。
聞いたとしても、会社としてシマヤッコやレンテンヤッコなどをキチンとした環境で繁殖させているものだったりして、とても個人レベルでどうにかなるようなものではないのかな?と思います。
そこで今回は、以前にも我が家で飼育しているダンゴウオのブログは書きましたが、今回はそのダンゴウオが産卵して、その産卵した卵が孵化して無事に稚魚が産まれたので、産卵から孵化までの経過についてブログにしてみたいと思います。
過去のダンゴウオのブログについてはこちらをご覧下さい。
今回のブログのトピックとしては、
・ ダンゴウオの産卵の様子
・ 産卵後の親魚の役割
・ 有精卵と無精卵の違い
・ 産卵から孵化までの日数
・ 孵化までの卵の様子
・ 孵化したダンゴウオの稚魚
を中心にブログにしていきたいと思います。
Contents
1 ダンゴウオの産卵の様子
まずは、ダンゴウオの産卵の様子についてですが、自然界のダンゴウオは、空になったフジツボの中などに産卵します。
近海では、ミネフジツボの遺殻やカモメガイの遺孔の様に入り口が狭くて中が広いものが産卵用の巣穴になる様です。
産卵の準備として、オスのダンゴウオが産卵場所となるフジツボを探します。
気に入ったフジツボが見つかれば、そのフジツボの中を清掃して、雄のダンゴウオがその中を巣にします。
水槽などの飼育環境下では、ショップなどで販売しているフジツボ殻を使うと見た目もいいかも知れませんが、ネットで買うととてもダンゴウオが入れる大きさじゃなかったりするので、実際に自分の目で確かめてから購入した方がいいかもしれません。
自分もネットでフジツボを購入したのですが、小さすぎてダンゴウオが入れる大きさじゃなかったので、使えませんでした。
その他簡単にダンゴウオの巣を作る方法としては、
内径13mmの塩ビキャップ
を使用する事もあります。この塩ビキャップはホームセンターなどで1個100円以下で購入出来るので、手軽に使うことが出来ます。
塩ビパイプでも代用出来るのかな?と思ったのですが、塩ビパイプだと片面に蓋がされないため、産卵に適さないのかダンゴウオのオスが巣を作る事は有りませんので、片側がきちんと塞がっている塩ビキャップを使うようにして下さい。
片側が塞がっていないと産卵しないのは、メスが卵を産み付けるのが、巣の奥の方の壁面に産み付ける習性があるからではないかと思います。
また自然界でもフジツボの中に産卵するので、産卵用の部屋の様な構造になっている必要があるのだと思います。
こうしてダンゴウオのオスが巣作りを終えると、抱卵したダンゴウオのメスがその巣に中に入って産卵をします。
産卵の様子としては、奥にメスが入り、そのメスの進路を塞ぐようにして、オスが後ろで待機します。
こうして産卵の準備は完了です。
産卵が始まるとメスが巣の奥の方に卵を産みつけた後、巣穴から出てくるのですが、この時卵が巣穴から出てしまわない様にオスが背鰭を一生懸命に広げて巣穴を塞ぎます。
こうして産卵したメスは巣穴から出て普段通りの生活を送り始めます。そして食欲が旺盛な場合は再び抱卵します。
2 産卵後の親魚の役割
産卵後はメスはこれまでと同様の生活を送ります。
しかし産卵には大きな体力を使うので、個体の寿命などの関係から、産卵後に動きが悪く食事を取らなくなりそのまま落ちてしまうことがあります。
産卵した後は細っそりとスリムバディーになります。
1度の産卵ですぐに体力が無くなり、落ちてしまうことはあまりないと思いますが、2度3度と短いスパンで産卵すると、急激な体力の低下で落ちてしまうこともある様です。
我が家でも連続で2度産卵したメスのダンゴウオが1匹落ちてしまいました。
自然界でも寿命は1年と言われるように、次世代に命を繋ぐために一生懸命産卵するのではないかと思います。
ダンゴウオの他にも産卵を終えると一気に弱ってしまう魚は居ますので、そう言うことなのかなと思います。
ただ、産卵後に急激に食欲が増す事もあるのでその時はすぐにまた抱卵するので、しっかりとご飯をあげて下さい。
では逆にオスですが、オスはずっと産卵した卵を背鰭を広げて巣穴を塞ぐ様にしながら守っています。
そして口から海水を含んでエラから勢いよく海水を出す事で、巣の中の海水を循環させて新鮮に保っているのだと思います。
オスは食事をせずに卵に新鮮な海水を送りながら孵化するまで卵を守るのですが、飼育環境下では、餌付けが出来ている場合には、巣穴まで餌を持って行ってあげるとちゃんと食べます。
3 有精卵と無精卵の違い
ダンゴウオの卵にも有精卵と無精卵があります。
ダンゴウオは産卵した後、恐らくオスが放精して受精する事で有精卵となり孵化します。
もちろん有精卵でなければ孵化はしません。
ではどの様な場合に無精卵になるのかと言うと、産卵した後すぐに巣穴から卵が放り出されてしまった場合などは無精卵の事が多いと思います。
我が家でも一番最初に産卵した卵はすぐに巣穴から出されてしまいました。オスも面倒をみる気配が無かったためその卵を回収して産卵ネットで様子を見ていたのですが、徐々にくすんだ様な色となり孵化することはありませんでした。
有精卵については、しっかりとオスのダンゴウオが守っており、卵自体に艶があります。
おおむね1週間程度が経過した後に細胞分裂が進み目の様な物が見える様になります。
見方によってはまるでアンパンマンの様にも見えてしまいます。
有精卵の場合は多くの確率で孵化すると思います。
4 産卵から孵化までの日数
ダンゴウオの卵の産卵から孵化までの日数ですが、
我が家では、
25日
でした。
ネットなどで検索すると孵化までの日数は
2週間から3週間と言われています。
恐らく個体差などはあると思いますが、
なんらかの弾みで卵から出てしまう場合などもあると思うので、産卵から2週間経過した後はいつ産まれてもおかしくないと言う状況になると思います。
5 孵化までの卵の様子
卵の様子の推移についてですが、産まれてすぐの卵はオレンジ色で有精卵と無精卵の区別がつきずらいです。
約1週間から10日位経過すると先程も書いたとおり卵の中に目の様なものが見える様になります。
下の写真は巣穴から出てしまった卵ですが、卵の中に目が見えるのがわかると思います。
アップにするとこんな感じです。
この様な感じで卵の中で細胞分裂が進み魚の身体を作っているのが分かると思います。
下の写真は、ここから更に1週間(産卵から2週間)が経過した卵になります。
卵の中の稚魚の様子がよく見ると魚の形をしているのが分かります。
ここまで来れば孵化までもうすぐになります。
しかしここで卵に異常が見られました。
分かるでしょうか?
卵に白っぽい何かがついています。
拡大するとこの様な形で卵に謎の線虫がくっついているのが分かります。
この線虫の同定は出来ませんでしたが、少し強めにスポイトで海水を吹きかけてやると吹っ飛んでいきます。
この線虫がついた卵ですが、オスが守っている卵と比べると明らかに発育が悪かったり、何も入っていない卵が多かったりしました。
恐らくですが、こう言った生物がつかない様にオスのダンゴウオが新鮮な海水を吹きかけながら常に清潔な状況を作っているのだと思います。
この外に出されてしまった卵も孵化しましたが、未熟の状態で生まれてきてしまったり、産まれずに白濁してしまたりしましたので、明らかにオスが守っている卵と比べると孵化率が悪くなりました。
上の写真の様にまだ成熟していないのに、孵化してしまう事もありました。
逆にオスがずっと守っていた卵ですが、
健康に育ち明らかに様子が違います。
上の写真はオスがちょっと外出したスキをついて撮影したものですが、卵の中身が黒くなっているのがわかると思います。
ダンゴウオはヨーサックを持って孵化する事は少ない様で、卵から産まれた後は、黒い色をしており上から見るとまるっきりオタマジャクシの様に見えます。
上の黒くなっている卵から孵化までは概ね1日以内と言う感じで、この状態を確認できたら産まれた後の準備に取り掛かった方がいいと思います。
孵化についても深夜時間帯と言うわけではなく我が家では、夕方ちょっと用事があって外出し、帰宅したら産まれていると言う感じでした。
6 孵化したダンゴウオの稚魚
孵化したダンゴウオの稚魚ですが、孵化した段階で既に身体の下に吸盤が出来ているようで、何かしらにくっつきながら尻尾を振っています。
大きさで言うとこの位です。下にある黄色いヒオウギガイの貝殻が大体7センチなので、縦に2、3ミリ、横に1ミリ位の大きさで産まれてきました。
カクレクマノミなど他の飼育下で産まれてくる魚の稚魚にしては大きい方だと思います。
そして産まれた瞬間から、ダンゴウオの稚魚にのみ見られると言う
天使の輪
が見られます。
そして産まれたばかりの稚魚ですが、色や模様はよく見るとカクレクマノミに似ています。
とまあこんな感じでダンゴウオの産卵から孵化までをざっくりと纏めてブログにしてみました。
現在は生まれた稚魚を育てているので、また折を見て稚魚の飼育についてもブログにしていきたいと思います。
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